研究室のコンセプト

機械工学から生物・医療分野にイノベーションを

みなさんは機械工学にどのようなイメージをお持ちでしょうか.例えば,映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のドクのデロリアンやアニメ「名探偵コナン」の阿笠博士の探偵グッズなど,ヒトの活動を飛躍的に便利にするものづくりを連想するかもしれません.実際に,機械工学の歴史では,産業革命以降,自動車や飛行機などの輸送機から時計などの精密機械まで,一貫してヒトの生活を豊かにすること,すなわち無駄を省き,効率を上げることが一つの目標でした.

さて,現代社会においてはどうでしょうか?エネルギー効率の極めて高いエンジンの開発やクリーンエネルギーによる発電機の開発など,ヒトの生活を豊かにするだけでなく,地球環境についても考えた持続可能な技術開発が行われています.生物・医療分野に貢献できる技術としては,例えばOrgan on a Chipというチップ上に細胞と機械でミニチュア臓器を作り,各臓器チップを接続することで人工的に生体と同じ機能を再現する研究が行われています.これにより,不必要な動物実験を省くことができます.

すなわち,私は現代の機械工学は“ヒトが生きる上で必要とする犠牲(地球・環境・エネルギー・生物・ヒト自身)を省いて効率を向上することを目指した学問”であると考えています.この理念をもとに,4つの力学を基盤として自然のメカニズムを解明・活用することで,生物・医療分野に資する新たなシステム・ロボット・デバイス・材料をものづくりすることが本研究室のコンセプトです.

本研究室では,なぜ,機械システム工学科で生物・医療の研究なのか?という質問を数多くいただきます.しかし,むしろ機械システム工学科であるからこそできるものづくりにより生物・医療分野にイノベーションを引き起こすことを目指しています.医学や生物学を主とした研究とは異なる,機械システム工学科だからこそできる着眼点から生きる上で必要とする犠牲を省き,豊かな社会を構築することに貢献できるものづくりの研究を実施しています.